何も考えないで注文してたら6人前になってるし食べるスピードは1/100になってるワイ「一人焼肉の辛いとこね、これ。」
— せやな (@FabyMssgOazer) 2018年12月3日
一連の咀嚼を一切れこなすのに当初は10~20秒。一皿を食べ終えるまでに 初めは10分弱を費やした。食べ終えれば倒れるように注文する。起きてまた注文するを繰り返す日々。
— せやな (@FabyMssgOazer) 2018年12月3日
四皿を過ぎた頃、異変に気付く。一切れ食べ終えるのに5分もかかる。おかしい。これは、おかしい。助けて。
「ここは…(ココア)」
気がつくと、彼は真っ暗な部屋にいた。
微かに差し込む月明かりを頼りに、辺りを見回す。天井にぶら下がる錆びたシャンデリアが、本来の役目を果たさずに彼を見下ろしていた。
「さっきまで……俺は焼肉を食っていた……」
「俺は……肉を6皿注文して……」
「たしか、4皿食ったんだ……それで……」
記憶はそこで途切れていたようだった。まるで
ふと下を見ると、白いシャツが赤く染まっている。
彼は急に立っていられなくなり、床に倒れこんだ。
***
何も思い出せない。
誰もいない部屋で、僕は夕食を作っている途中らしかった。
牛カルビ塊を包丁で削ぎながら、牛カルビ塊ってなに?どこで売ってるの?などと考えたりしていた。
ともあれ、シャツが汚れるといけないから着替えてしまおう。どうしてYシャツのまま料理していたんだろうか。
包丁を置こうとした瞬間、強すぎる西日が包丁の腹に反射して、一瞬目の前が真っ赤になった。
僕の意識はそこで途切れた。
玄関で、SESAMEが動く音がした。ような気がした。
***
「うう……」
床に伏しながら、うめき声をあげることしかできなかった。完全に食い過ぎだ。
「まあ最初はお通しの代わりに、ロースとカルビを2皿ずつ頼もう」じゃねえんだよな。冷静に考えて4人前を注文した時点で試合終了だし、オーダーストップだった。
一人焼肉なんて久しぶりだったから、感覚が完全に狂っていた。
ふと横を見ると、誰かが立っていた。
……は?ここは俺の家だ。そういや俺は、玄関に入ったところでぶっ倒れて………
腹を伝う、生暖かい感触に気がついた。
完全に腹が爆発しそう
— せやな (@FabyMssgOazer) 2018年12月3日
腹が、爆発していた。
***
気の遠くなるような時間が過ぎた気がしたが、部屋の中は相変わらずだった。
ただ一つ違っているのは、彼を見下ろしているのがシャンデリアの他に、もう一人増えたということだけだった。
シャツが汚れていた。
思い出した。そうだ、僕はシャツを、替える途中だった。
替えて、あげなきゃ。彼のシャツが、汚れてしまっている。